ピアノ協奏曲第1番②・チャイコフスキー、出来すぎて酷評される
ピアノ協奏曲第1番は、まさかの酷評
前回の記事です。
ニコライ先生に初演をしてもらおうと
楽譜が完成して真っ先に彼のところにみせに行きます。
これまで、チャイコフスキーの作品をよく理解し、
多くの初演を行ってきた一番信頼のできるニコライ先生に頼むのは
あたりまえの流れでした。
しかし、ニコライ先生がまさかの発言をします。
「このピアノ協奏曲第1番は最悪だね」
は??????
チャイコフスキーは自分の自信作を
当然ほめられるものと思っていただけに動揺が隠せません。
ピアノ協奏曲第1番は出来すぎで理解されなかった
ニコライ・ルビンシテイン先生は
まだまだ畳みかけます。
「このピアノの指使いは好ましくない」
「この作品は陳腐で不細工であり、役に立たない代物であり、貧弱な作品で演奏不可能であるので、私の意見に従って根本的に書き直すのが望ましい」
さんざんな評価でした。
思えば、
交響曲第1番「冬の日の幻想」のときも、
さんざんにけなしていたような・・・
チャイコフスキーの進みすぎた音楽性に
ついていけなかったのかもしれません。
チャイコフスキーとの葛藤
ニコライ先生はピアノ科の教授だったため、
チャイコフスキーがピアノ協奏曲を作曲するにあたっては
ぜひ自分に相談してほしいと思っていました。
しかし、
チャイコフスキーのほうは
ニコライ先生とは仲良しでも、音楽性の違いは感じており、
自分のやりたいことをやり通すために
相談なしに作曲を終えます。
これを少しだけ悔しく思ったニコライ先生は
ついチャイコフスキーにつらくあたってしまったようです。
チャイコフスキーの才能が徐々に
モスクワ音楽院の器に収まりきらなくなるくらいに
開花しようとしていました。