ピアノ協奏曲第1番①・チャイコフスキーの初期の傑作
チャイコフスキーの傑作「ピアノ協奏曲第1番変ロ長調」
チャイコフスキーの作曲した曲のなかでは有名で、
さらに初期の作品のなかでは間違いなく一番の傑作と言われているのが、
「ピアノ協奏曲第1番」変ロ長調です。
チャイコフスキー34歳のころの作品です。
幻想序曲「テンペスト」など、
ロシア音楽界を揺るがす楽曲を世に送り出しつづけてきたチャイコフスキーですが、
ここでついに協奏曲という分野に進出しようとします。
しかし、同時に
チャイコフスキーのあまりにも進歩しすぎた才能が
ちょっとずつ邪魔をし始める時期でもあります。
ちょっとずつ周りの人たちから見たら
とびぬけすぎたもののように見える彼の音楽性は
戸惑いを感じさせることもありました。
時代が少しずつだけ、
彼についてこれなくなりますが、
もちろんこの当時はまだまだチャイコフスキーの
活躍は絶頂のままです。
わずか1か月半で完成したピアノ協奏曲
ピアノ協奏曲とは言ってみれば、その両方のいいとこどりをしたジャンルです。
チャイコフスキーはこれまでのすべてを注ぎ込んで、
最高傑作をつくろうと意気込んでいました。
その気合いはとにかくものすごく、
多忙な日々のなか、わずか1か月半で書き上げてしまいました。
一説によると、
かなり前から楽想を練っていたとされていますが、
それでもチャイコフスキーの傑作のなかでは
かなりのスピード完成です。
最初の演奏者は、この人!
チャイコフスキーの作品のほとんどは
初演をニコライ先生がやっています。
彼の教授仲間で、
モスクワ音楽院の校長先生である、ニコライ・ルビンシテインです。
ふたりは、
チャイコフスキーがウクライナの田舎から大都市モスクワに出てきたときからの付き合いで、
まだ知り合いの少なかったチャイコフスキーに
いろいろなことを教えてくれた恩人でした。
当然、
この自信作をニコライ先生に
演奏してもらいたい!!
とチャイコフスキーは思っていましたが、
ここで予想外の出来事が起こります。