「組曲第1番」チャイコフスキー・修行編に突入!!
チャイコフスキー「組曲第1番」
彼なりの試行錯誤を反映した曲です。
バレエ音楽のような自由で美しいメロディを研究して、
でも、同時に壮大で形式の整った交響曲にも挑戦して、
どちらも詰め込みすぎた結果、よくわからないぼんやりとした作品になりました。
彼なりに悩みながら、芸術を突き詰めていっている時の曲です。
自分の実験をやりたいだけやりきった曲
約11年ものあいだを開けています。
この間に、
彼は、4曲(純粋な作曲としては、バレエ音楽と同じく3曲)の
作品を残しました。
チャイコフスキーが自分のやりたいこと、得意なことをすべて実験して、
そのうえで最高のものを交響曲第5,6番や「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」に発展させていったともいえるでしょう。
フーガ、ガヴォット、精巧な変奏、多種多様な様式や技巧などを詰め込んでいて、
チャイコフスキーがどのように作曲を極めていったのかを知ることができます。
ドラゴンボールでいう「修行編」のようなイメージでしょうか。
ここで、チャイコフスキーなりの必殺技を磨いていくのです。
チャイコフスキーの「組曲第1番」への思いいれ
彼はこの曲について、
「わたしの思い違いでなければ、この作品は早い時期に聴衆に受け入れられ、
人気を得るだろう」と手紙を残しています。
いまの私たちから見たら実験曲のようにも見えますが、
当時もてる力のすべてを注ぎ込んだチャイコフスキーにとっては、
当時、自信満々の最高傑作でした。
ひそかにフォン・メック夫人に捧げられたといわれています。
この曲が完成した38歳、39歳のときは、
ふたりの仲が急速に燃え上がっていたときでした。