チャイコフスキーの生涯をわかりやすくまとめた

チャイコフスキーの生涯をわかりやすく解説します。

交響曲第4番③第1楽章・チャイコフスキーの得意技「交錯」

チャイコフスキー交響曲第4番・第1楽章を解説!

前回は、

 

 

チャイコフスキー交響曲第4番のなかでも特に印象的な、

 

第1楽章の序奏を解説しました。

 

 

nmusic.hatenablog.com

 

そして、それに続く、第1楽章の本体は

 

チャイコフスキーの得意技ともいえる、「現実と夢の交錯」をテーマにしています。

 

 

昔の思い出や、理想の未来を描きながら、

現実と戦い続けるチャイコフスキーの心の奥を描き出しています。

 

 

 

第1楽章、「人生とは〇〇であるのだ・・・」

 

チャイコフスキーは、フォン・メック夫人にあてた手紙で

この部分の解説をあつく語っています。

 

意訳して紹介しましょう。

(わかりやすくするために、だいぶ脚色していますので注意)

 

「重い足取りで階段を下りてくるような音型は、ねじふせるような威圧感を感じさせる。

 

 

そして、もう一度、序奏で出てきた激しいファンファーレが展開部でなんども繰り返され、

 

忌まわしい警告を発します。

 

 

憂鬱な第1主題は、「宿命にたいする諦観」。

 

この宿命のパワーの前に「あきらめるしかない・・」と、

うなだれる気持ちを表しているのです。

 

第2主題は、「淡い夢」。

この宿命から逃避して、夢見がちな人びとの心を表しています。

 

 

この2つの主題は展開部で絡み合い、

 

 

そこに宿命のファンファーレが突き刺さります。

 

 

その瞬間、

 

とどめを刺されたかのように

 

決して晴れることのない憂鬱な気分になるのです。

 

 

 

要するに、人生とはこのようなもので、

 

 

暗い現実と淡い夢の交錯だ。」

 

 

 

チャイコフスキーはこのように考えていました。

 

 

激しい戦いというよりは、

 

あまりにも強すぎる運命に打ちのめされている。

 

そんな人間を描いています。

 

けっして克服したり

乗り越えたりもしていない。

 

 

やはり、同じ運命の作曲家でも、

ベートーベンとは方向性が違います。

 

 

交響曲第4番は意外な展開を魅せる

 

なんと第1楽章で、

人間は完全敗北を喫します。

 

 

ここから、どのように生きていくのか。

 

 

ベートーベン流の

「苦難・戦い・勝利

 

とはかなり方向性の違うチャイコフスキーの芸術は、

 

意外な方向に向かいます。

 

第2・第3楽章です。