なつかしい土地の想い出・チャイコフスキー、メック夫人との思い出のこと?
「なつかしい土地の想い出」チャイコフスキー
「なつかしい土地の想い出」は、1878年、
彼が、復活の年38歳のときに書いたヴァイオリンとピアノのための曲です。
このときは、スイスに滞在していて、
ヴァイオリン協奏曲を書き上げているところでした。
「なつかしい土地の想い出」の第1楽章には、
ヴァイオリン協奏曲の第2楽章にするはずだった「瞑想曲」をもらってきています。
名曲の弟として誕生したといえるでしょう。
チャイコフスキーのヴァイオリン曲には
「憂鬱なセレナード」「ワルツ・スケルツォ」などがありますが、
どれも傑作として知られています。
美しいメロディがありながら、暗い影を持ち合わせた深みが特徴の曲たちです。
なつかしい土地ってどこ??
「なつかしい土地」とはどこなのか?
彼はそれを書き残していませんし、
現在の研究でもどこであったかは意見がはっきりしません。
この曲はスイスからロシアに帰ってきてから完成させたので、
題名を最後につけるときに
「スイスなつかしいな~」と思ってつけたとか、
彼の大好きなウクライナに近いブライロフという田舎町があって、
そこはフォン・メック夫人の領地だったため、
休暇のあいだ、使わせてもらったりしました。
このときに曲を書いた形跡もあるので、
「ブライロフなつかしいな~」
そのときの思い出を思い出したとも言われています。
ミステリアスなメック夫人に関係するエピソードは珍しいので、
ファンとしては少しだけテンションがあがる曲です。
チャイコフスキー唯一のヴァイオリンとピアノ曲
チャイコフスキーは、
ピアノとオーケストラを得意としていたのですが、
一方でヴァイオリンにはそこまで突っ込んでいません。
ヴァイオリン協奏曲という代表作こそあれ、
ヴァイオリン曲自体は全部で4つしかつくっていませんし、
ヴァイオリンとピアノのための曲は
「なつかしい土地の思い出」だけです。
チャイコフスキーの充電期間
この曲は、自殺まで考えたチャイコフスキー激動の3年間をのりこえたあとに
書かれています。
そのときチャイコフスキーは田舎で休息の日々を送りました。
そして、その充電期間を経て、
のちの大仕事に取り掛かります。