交響曲第2番「小ロシア」④・チャイコフスキーへの評価は?
交響曲第2番「小ロシア」の評価は?
前回は
ロシア五人組にも評価された話をしました。
2人からは評価され、
のちに五人組全員から憧れられる曲になりました。
交響曲第1番「冬の日の幻想」といい
交響曲第2番「小ロシア」といい、
チャイコフスキーはヒット曲に恵まれます。
評論家も大絶賛!交響曲第2番「小ロシア」
リムスキー・コルサコフの集会で行った演奏会には、
音楽評論家のスターソフという人も来ていました。
スターソフは自分が耳にしたものに感銘を受け、チャイコフスキーに
「次回はどんなものを作曲するつもりか?」尋ねています。
スターソフは間もなくチャイコフスキーの生涯に影響を及ぼすことになり、幻想序曲『テンペスト』やその後の『マンフレッド交響曲』をつくるときに
チャイコフスキーにインスピレーションを与えた人物と言われています。
1872年版(初版)による作品全体の初演は、1873年2月7日にモスクワにおいてニコライ先生指揮によって行わました。翌日チャイコフスキーはスターソフに次のように書き送っています。
「(これは)非常に成功しました。あまりうまくいったので、ルビンシュタインは――聴衆の要望もあって――再演を望んでいます。」
4月9日の再演は、さらなる成功を収め、再び聴衆の要望により、5月27日にモスクワで3度目の上演が追加されました。
評論家の反応もまた熱狂そのものでした。
スターソフは終楽章について
「色彩や『ファクチュール(出来映え)』という点において、
すべてのロシア楽派の最も重要な作品の一つ」
と言っています。
「筆者は長らく、これほど楽想の主題的な展開が力強く、変化に富み、巧みに動機労作され、芸術的に考え抜かれた作品に出逢ったことがない」
わざわざ初演にペテルブルグからモスクワまで出かけてきたラローシという評論家の言葉です。
そしてついに全楽章とおしての演奏がペテルブルグ上陸。
5月7日にペテルブルク初演が行われます。
五人組の最後の1人・キューイはここでダメ出しをしていますが、
ペテルブルクの聴衆は本作を積極的に評価して、翌年の定期で再演してほしい!!とのアンケートを寄せました。
ロシア五人組はなぜ「小ロシア」を評価したのか?
それにしても、
ロシア五人組とは微妙に音楽に対する方向性が違います。
なぜ、かれらはチャイコフスキーの曲を評価し、
憧れまでもつようになったのでしょうか?
それについて解説しています!