ピアノソナタ「グランド・ソナタ」③・聴きたくなる!終楽章の聴きどころ
「グランド・ソナタ」終楽章の聴きどころ
チャイコフスキーの実体験にもとづいて書かれた、
絶望から復活のストーリーです。
楽曲はついに終楽章に突入します。
第4楽章、人生を祝おう!
駆け巡るような音型で構成されるのが、第4楽章です。
激しく行き急いでいるようなイメージを持ちますが、
聴いているうちに徐々に本当の顔が見えてきます。
ロシア風の旋律をふんだんに盛り込み、チャイコフスキーのロシアで生きてきた人生を振りかえります。
そして、これまでの人生の中で、よかったことも悲惨な体験もすべて「良かった!!」とチャイコフスキーは思えるようになります。
自分の人生を振り返って肯定することができたとき、
人間は強い生命力を持つことができるようになります。
この激しい音楽は、
感情を爆発させて、「人生なんて、こんなもんでいいんだ!」と
開き直ったような印象を持ちます。
ベートーベンであれば、
苦難を乗り越えて、最後は圧倒的に勝つんだ!!
という音楽にしますが、
そこを
「開き直っちゃえ!それでいいんだよ~。わ~い、好きなだけやっちゃえ~」」
ってするところが
チャイコフスキーのこの当時の人生訓でした。
交響曲第4番と同じ発想ですね。
科学的にも証明されつつあるチャイコフスキー思考
実は、この開き直りは
最近、心理学の世界でうつ病にならないようにするための思考法として
紹介されることがよくあります。
アドラー心理学の「嫌われる勇気」などはその好例です。
詳しい説明はまた今度しますが、
チャイコフスキーのたどり着いた答えは
案外、現代社会を先取りしていたのかもしれません。
ベートーベンのようなカッコよさはないですが、