「エフゲニー・オネーギン」のあらすじと作曲秘話
「エフゲニー・オネーギン」のあらすじ
前回の記事です。
チャイコフスキーの歌劇
「エフゲニー・オネーギン」は、
自分の存在を無意義に感じる青年、エフゲニー・オネーギンの物語です。
その虚無的な行動から、周囲の人を不幸にしていく悲劇的な人物です。
その彼に思いを寄せるタチャーナという女性がヒロインとして登場します。
ヒロインは、純朴な田舎の領主の娘で、ロシアでは理想的な女性のタイプと言われる人物として描かれています。
原作では、主人公オネーギンを主に描きますが、
チャイコフスキーは、そのヒロインに感情移入し、
むしろ、彼女の心理描写のほうを丹念におこなっていきます。
チャイコフスキーっぽい、陰鬱なかんじの歌劇だということがわかりますね。
「エフゲニー・オネーギン」作曲秘話
チャイコフスキーはこの曲を書く直前に、
パリに旅行に行きました。
そこで見たのは、当時大ヒットしていたオペラ
社会や経済、時代の大きな概念みたいなものを扱わず、
むしろ、身近で現実的な生きた人々の悲劇を描き出しているこの作品は、
当時のチャイコフスキーにとっては衝撃的でした。
そして、その美しさに心を奪われます。
そして、
「身近な自分たちと同じように生きている人間」を描いた作品を探します。
ようやく見つけたのが、
ロシア近代文学の祖・プーシキンの「エフゲニー・オネーギン」でした。
チャイコフスキーの悲劇のはじまり
彼は、1年がかりで、
さらに交響曲第4番の作曲とほぼ同時に
「エフゲニー・オネーギン」を作曲していきます。
そんなさなか、大事件が起こります。
アントニーナ・ミリューコヴァという女性から、
突然、求婚されます。
ここから、チャイコフスキー自身の悲劇がはじまります。