交響曲第2番「小ロシア」①チャイコフスキー32歳
夏休みに浮かんだ交響曲第2番「小ロシア」
32歳の夏休みに、故郷ウクライナに嫁いでいる妹のところに遊びにいきました。
いつもどおりの仲の良い兄弟です。
このときにウクライナの民謡などをいろいろと取り込みながら、
作曲のイメージを練りました。
そして、夏休みがいつの間にか終わりそうになっており、
急いでモスクワ音楽院まで戻ります。
モスクワに帰ると作曲だけでなく、
他にも授業を担当したり、
この時期は評論家としての活動も依頼されるようになり、
多忙な日々を送ります。
そんななかで、交響曲2番「小ロシア」は書き上げられました。
どれくらい大変だったかというと、
チャイコフスキーは大好きな兄弟への手紙の返信を怠ることはないくらい、
頻繁に連絡を取り合っていたのですが、
このときばかりは
弟の手紙に返事をかくことができず、
あとで、おわびの手紙を送っています。
チャイコフスキー ⇒ 弟
「(交響曲に)夢中になってしまったので、他のことに取り掛かれる状況ではなかったんだよ。この『天才の仕事』は完成間近だ。形式の完成度に関しては、自分の最高の作品だと思う」
この2週間後にチャイコフスキーは大急ぎで交響曲を仕上げ、さらに1週間後に完成させました。
かなりの急ピッチです。
交響曲第2番「小ロシア」とは?
小ロシアとはウクライナのことを言います。
ロシア人がウクライナを見下していう言い方です。
この当時はウクライナという国はなく、
ほとんど同じ国のように扱われていたので、
チャイコフスキーもウクライナ出身ですが、ロシア人としての意識を持っていました。
モスクワからは南にかなり遠い地方にあり、
作物のよく実るゆたかな地方です。
そんな牧歌的な風景からインスピレーションを得て、
さまざまな曲をチャイコフスキーは作曲しました。
その代表作が交響曲第2番「小ロシア」です。
チャイコフスキーの「大好き!!」を詰め込んだ曲です。
この曲には実はいろんな工夫が施されているんです!
聴きごたえ抜群の曲を解説していきます。